「雪男は向こうからやって来た」を読んだ
角幡唯介さんの「雪男は向こうからやって来た」を読みました。
ISBN978-4-08-781476-7 集英社 1600円+税
ヒマラヤに雪男を探しに行った男たち(本人含む)のドキュメントであり、読み応えバッチリ。
雪男に限らず超常現象を扱ういわゆるオカルト本と本書が決定的に違うのは、作者の角幡さんが雪男の存在に懐疑的であるという点です。かくいう私もやはり雪男の存在自体は積極的に肯定できるものではありません。って政治家の答弁かよ。
でも実際には雪男を探しに行ってそのまま帰らぬ人となった方が多数いるというのです。何かを見てしまったから。そして本書では、なんでそんなUMAの発見に人は命を懸けるのか?そこに焦点を当てつつ、角幡さん自身もやがて…という感じで雪男の存在に迫っていきます。
舞台はヒマラヤであり富士山よりも高い高い場所でのルポなので日本の、そのなかでも特に意識もレベルも低い低い私の職場などとはまさに天と地ほどの環境の差があるにもかかわらず、なんか親近感が沸くのです。山に関わる者として。撮影用のテントがブルーシートを張った簡素なものだったりゴミは焚き火で燃やしてしまうとかのディテールが、ヒマラヤでも同じことやってる!と共感するからでしょうか?というか私は大昔、イノシシをクマと見間違え大騒ぎして笑われたことがあって、その体験となんか心情的にかぶるのです。ホントにあくまでオマエの心情じゃねえか!と言われそうですが。
林業と登山は生産性という点では全く別ジャンルなのですが(つっても林業の生産性なんてファンタジー同然ですが)、山つながりで読むことを激烈にオススメしたい。林業の技能は決して向上しないでしょうが、そんなものはブタにでも喰わしとけ!
最後に若干ネタばれになってしまうかもしれませんが一番印象に残った、捜索隊に同行した地元のコックさんの言葉。
「イエティは写真には撮れません。インポジブル。神様だから」
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