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2010年6月18日 (金)

本日の作業「下刈り」

いよいよ全国的に入梅しましたが、その晴れ間はすでに真夏を感じさせます。
イコール凄まじく暑いということ。
そしてこの季節のメインの仕事は「下刈り」です。これはどこの林業業界もたいがいそうなんじゃないでしょうか。
「下刈り」とは植林後のスギやヒノキの苗木の周辺の雑草をだいたい7〜8年にわたって、夏場に刈り倒す作業です。「神去なあなあ日常」では大ガマを使っていましたが、わが職場では刈払機を使用します。30枚笹刈刃という専用の刈刃を丸ヤスリで研ぎながら使います(あ、写真用意すればよかった)。とにかく効率重視です。なので、誤伐が結構あります。今年初めて夏を迎える新人さんは、絶対「一本間違って切るごとに1000円給料から天引きする」みたいなことを言われたことでしょう。普通は冗談です。
それはともかく、下刈りは激烈に暑いです。
植林したばかりの山ですから、基本的にほとんど大きな木がありません。つまり、日陰が無いのです。そこに刈った後の草いきれというか、なんか雑草の茎から蒸気が出て、暑さが増幅されて、スイッチを入れたように玉の汗が噴出します。マンガとかアニメの「すごく汗をかいた服やタオルを絞ると水がジャーッと出る」っていう古典的誇大表現がマジで再現可能ですから。35度を越える猛暑日ともなると、せいぜい30分も作業ができません。少ない日陰にハダカで身を寄せ合うさまは、あたかも天変地異になすすべも無く怯える原始人のようです。
そんな状況下で、もし水分を取らないと、熱中症になります。頭が痛くなったり、全身が攣って動けなくなったり、一時的に耳が聞こえなくなったり、逆にぴたっと汗が止まったり(これはもうかなりヤバイ)します。宇能鴻一郎の官能小説の若妻のように、夜になっても体の火照りが収まりません。
それを予防するために、汗をかきやすい人なら、一日に水分を最低5リットルぐらい摂取しないといけません。重さなら約5キロ。つまり、一日に5キロずつ体内の水分が入れ替わるわけですから、体重80キロの人は16日で全身の入れ替えが終了です。今どきのパチンコ屋の新台入替並みの猛スピード。デトックスとかダイエットなんてしょせんレジャーとしか思えなくなりますよ、実際。
山の中にはコンビにはおろか自販機も無いですから、基本的に水は持参することになります。え?山には清水が湧き出てるんじゃないか?そんなに都合よく清水は湧き出てませんし、世界遺産でもない限り今どきの清水は怖くて飲めません。現代の山林はどこに何が埋まってるかわかったもんじゃないですから、汚染されてる可能性が捨てきれないのです。
水分の持ち運びは、水筒だと重くてかさばるし、なにより量が間に合いません。基本はペットボトルに水を入れて凍らせて、複数本持ち歩きます。ただし意識が朦朧となると、燃料を入れたペットボトルと間違って飲んで、胃洗浄を受けるハメになりますから注意。水よりは麦茶とか、スポーツドリンクを薄めたもの(そのままだと甘すぎる)がいいでしょう。これはハチに刺された時も冷やすのに使えます。
そうです、下刈り中は、頻繁にハチにも刺されます(その対処はこの前書いたので割愛します)。ハチもイヤですが、カメムシも個人的にはイヤです。刺されるんだかなんだかわからないのですが、痛いというか熱いのです。どうやら、を噴射するらしく、皮膚が爛れてなかなか治りません。
まだなんか書き忘れてる気がするほど、かように苛烈な下刈りですが、この過酷さを乗り越えられるかどうかというのが、新人さんには最初のヤマです。というか、夏を乗り切れば、ほぼなんとかなります。睡眠不足はお肌の敵だけではなく、熱中症もテキメンに効きますから、夜更かししないで頑張ってください。ってなんで他人事なんでしょうか。ウッカリ横山光輝の三国志なんか寝る前に読み始めて、今日死ぬほど辛い思いをしたのは他ならぬ自分のくせに!

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